新型コロナウイルスの影響もあり、教育現場ではますますオンライン教育が注目を浴びています。
今回はアルスクール代表 村野と同級生でもあるダースレイダーさん、現役の教員である矢野利裕さんとzoomでオンライン対談をしました。
皆さん、オンライン教育ってそもそもなんなのか、どんないいことがあって、どんな悪いことがあるのかということを、一度きちんと考えてからそこに進んでいった方がいいのではと常々思っていたそうです。
今回は、オンライン教育の今後について、まさにオンラインで、クロストーク形式にたっぷり話し合って頂きました。
Contents
トークセッションを行ったメンバーご紹介
ダースレイダーさん
1977年、フランス・パリ生まれ。ロンドン育ち、東京大学中退。ミュージシャン、ラッパー。吉田正樹事務所所属。2010年に脳梗塞で倒れ、合併症で左目を失明。以後は眼帯がトレードマークに。3ピースバンド、ベーソンズのボーカル。オリジナル眼帯ブランドO.G.Kを手がけ、自身のYouTubeチャンネルから宮台真司、神保哲生、プチ鹿島、小西克哉らを迎えたトーク番組を配信している。
批評家、DJ。教育現場に携わりながら、評論活動をおこなっている。著者に『コミックソングがJ-POPを作った』(ele-king books)など。
アルスクール校長です。
今のオンライン授業の授業の形はどうですか?
コロナになって今どんな状況になっているか。
矢野さんの学校、そしてアルスクールや子ども達の学校では今どんな状況になっているのでしょう。
そもそも授業のカリキュラムが組まれてたし、子供たちと信頼関係はできてるのでまあその中で粛々とやっていくと。
オンラインやっぱり初めてなので、子供たちも、逆に集中力高かったんですね。
画面見なきゃいけないってのもあるし。なのですごくうまくいっていた。
4月からは、一番懸念してたのは新一年生。
うちも息子新一年なんでちょっと心配なんですけど、そこってやっぱり学ぶ姿勢とか信頼関係が全くできてないなって。
(息子の学校では、)今のところ先生が工夫しながらすごくうまくやってくれてますけども。
ただインフラ的に双方向の授業が全部実現できるというのは厳しそうだと。
現状、多々難しい問題点は当然出てくるものの、子どもたちとも、オンラインでのコミュニケーションを取っていっているようです。
実感したオンライン授業でのデメリット
兄弟がいたら厳しい?インフラの問題
そうなると、まだインフラ的に厳しそうだと思いました。
じゃあなんとかwifi環境整えて、みんな授業に参加させてってことが、一個の学校レベルだったらできるかもしれないけど、全国の自治体・学校レベルでインフラを全部整えるっていうのは、いきなりはできないだろうっていうのは確かにありますね。
今使えてる人も使えなくなると思うんで、そこは難しいって思うのもあります。
オンライン授業では、時間割通りにやるのは難しい?
でも、何時になったら椅子に座ってなきゃ怒られるとか、チャイムがなったら座る、そういうのがまとめて学校教育と呼ばれてきたんですね。
今の社会はそれを社会性と呼んでいて、学校で社会性を育むということをやってきました。
それが失われるというか、そこが相対化されるという局面でもあるということです。
すると時間割というものがもともとなにを求めていたかが変わってきて。
いつでも見られる動画配信なのに、この時間に見ないといけないという圧力をかけるという必要性もかなり疑わしい。
オンライン学習は知識の獲得にはすごく向いていると思っているんですね。
学ぶ姿勢のできている人は自分のペースでやればいいと思う。
小さい子に関していうと、朝一回集まって、下校の時間に集まって、というのは、こどもにとってはメリハリが出ていいと思うんですね。
ただ小4とか小5とか、ある程度自分でやれるようになってきたら自分のペースを尊重すべきかと思います。
ただ、あわせて変えていくということになると、それに手間がかかるっていうのもあり、学校側のリソースを含めどこまでやれるか。
学校の在り方にもつながってくので、どこまでやるのかっていうのがありますね。
学校は機会の均等を重要視している
格差がどんどん広がってしまう。
WiFiがつながらない家の子がなかなか進めなかったり、サクサク進める子がどんどん進んでいってしまうというようなことが発生してしまうと思うのだけど、どうでしょうか。
確かにインフラ揃うまで置いてかれる子がいて大変なのは分かるけど、やれる範囲でやっていかないとだめだし、そこで得た経験は必ずほかにフィードバックされるので、進みながら もれていく部分を救っていけばいいのではないか。
格差は必ず広がっていくとは思います。
単純にHWとかネットワークだけではなく、オンラインでついていける子、ついていけない子はキャラで出てきます。
どんどん先に行ける子はいってもいいし、何度も考える子にはそういうやり方でもいい。
学校を組織だったり、場として考えるときのまとめ方というのが変わってくるかなと思ってます。
教育の結果ではなく、機会を均等に配分しないといけない、同じ情報にのせないといけないという発想、要請があるので。
今までだったら、機会の平等性が保たれたまま進んでいくというのが、空間的に設計されていたなということがかなり実感されました。
そこもオンラインでは なくなってしまうんですね。
そこに差が出てくることに、学校側の論理としてはすごく不安です。
従来ならここに来れる子が来られないかもしれないと思うと、どうしたものかと考えてしまいます。
リアルで顔をあわせる雑談の大切さ
学校教育における参加の仕方について、サボることや先生を出し抜くゲームに知識を使うことも、得られる裏成長であったのが、オンライン化の中にはどれくらいあるのかなというのが期待と不安としてあります。
オンラインだと好きなときに食べられるけど、当時はいかに見つからずに弁当を食うかのスキルが問われていたということもあるので(笑)、
実は学校という場って、管理されてるがゆえにそれを抜け出すための知恵が育つ、というところがある。
授業中の隣との雑談とかがすごく大事というか、今となってはいい経験だったよね。
本当に大事なのは、ルールが動いていることを知ることですよね。
非常事態になったときに、ルールに書き込まれていないものに対してどうするかです。
ルールという網の目が降り掛かってきたときに、「自分に網が降り掛かってきた」という前提が自分で分かればそういう行動を取れるようになれるから。
僕は中高でそういう教育を味わっていたと思うし、社会のルールへの距離感を取るというのは当時の経験から学んだことは間違いないので。
ここまでだったら怒られないかなっていう、実際触れて感じる、五感で感じて怖いと思う。
ここから学んで社会性にもつながっていくんです。
これがデジタル化することで、データ量減らしていくことになったら、ということが怖いです。
オンライン教育でのメリット
しかし同時に、オンライン教育だからこその良い点も多く感じています。
同調圧力からの解放
家にいた方がいい子というのも当然あったりして。
オンライン授業をやってみたりすると一度止められたりするので、色々あるとは思うが、評価の方法自体を変えなきゃいけないっていう局面もあるかもしれない。
一緒にいるのは大事だというけど、そこにたどり着くまでにしんどいという人もいると思うし、通学というストレスがなくなっただけで授業に向く気持ちが変わればそれはいいことだよね。
チャットだから声をあげる子、オンラインで輝ける子がいる
メディアが変わったら、もしかしたら吃音持ってる人だったり発言が苦手だった子とかが言葉を獲得しやすい状況っていうのも反面生まれてくるかもしれない。
そこでも「コミュニケーションの新しい場」の可能性を同時に感じてはいます。
全部オンラインでってなるとまた極端だなとは思ってしまいますけど。
3ヶ月とか半年とかだけオンラインだったら、子どもにとって新しい経験ができるから、むしろメリットしかないんじゃないかな。
ちゃんと受けられればね。
全部オンラインでやっちゃえばいいやっていう万能論だったり、0or100の話ではなくて、一個一個「こういったところがあるのか」とか、ダメなところを見つけたりとかを、常にモニタリングして分かっていくっていうのが大事なことなんでしょうね。
マイペースはできる子にもできない子にも大きな強み
そこの比重を変えていって、その子のマイペースでやりつつ自己肯定感を育むっていうのが、まあヒューマンリソースかかるんですけど、全然できるかなとは思います。
マイペースでできるっていうのは、できる子にとっていいんですけどできない子にとってもよくて。
周りとの同調圧力とかそれが自己否定に繋がらないで、一個ずつ自己肯定に繋がるフローを必死で考えればいいのかな思います。
オンライン教育は、リアルで進めてるから修正が可能
僕の友人??が、放送聴きながら、声が曇ってるぞってのを教えてくれていて。
マイクヘッドのスポンジを取ってみたり、ボタン一個下のところにつけてみたりと、実は放送中にオンラインでPA的な音質チェックをしてた。
これってオンラインでやっているからこういったことができるっていう面白さですよね。
オンラインの良さっていうかアップデートがその場でやっていけるっていうね。
これって結構一つの気づきかなっていうのを、自分が実験台となって実際今やってたんだ。
これをリアルタイムで見ていけるっていうのは、僕はオンライン化っていうことの一つの恩恵かなって思う。
世界中のエンジニアとかが、できないことに即座に反応してプログラミングをし直して、それが反映されていくっていうのを体感しながら、同時に、生徒たちはそれを使って学んでく構造っていうのが、何か別の未来があるんじゃないかな、というのを感じてます。
村野とかはまさにそういった視点のプログラミングスクールとかやっているわけだけども、テクノロジーの進化っていうものについてはどう思います?
zoomが今どんどん改善してるっていうのはまさにテクノロジーの進化の一番大切なところで。
僕はプログラミング教室で子ども達にテクノロジー使って価値創造できるようになって欲しいと思ってやってるんですけど、そのなかで一番大切なものって、今のzoomみたいな視点で、「やって試してどんどん改善してく」。
このリアルタイムで進んでいってるっていうのを、実際観測できるということが、このオンラインの面白さだったりする。
教科書なんて一回配ったら1年間とりあえずずっと同じものを使うわけだ。
それがオンラインの場合だったら、なんかこれおかしいってなった時にすぐ修正、アップデートされて変わっていくっていうのを体験すること自体も、ある種の学びであったりすると思う。
実はいい機会!?こんな今だからこそ
今、いわば強制的にオンラインを利用する場に押し上げられたこの教育の環境で、生徒も教育者側も、不安の中手探りで進んでいっています。
子ども達はいったいどんなことを考えていけばいいのでしょうか。
また、大人はどのように接し、どんなことを考えてもらえるように導いていけばいいのでしょうか?
失敗してもOK、そこから歩む姿を見せよう
子どもと一緒に、新しい学びの場を作ろうよっていう姿勢を見せるのってすごく教育としては面白いなって思う。
まさにテクノロジーの進化を引っ張ってるのはそういうところなので。
どっちかっていうと日本て減点主義で。
そういう、失敗するのが苦手だった中で、教育環境が変わるんだったらこれはすごくいいチャンスだなと感じます。
今までは上下で受け取る受け取らないっていう関係でしかなかったものが、横での繋がりっていうものに。
そういった関係性に今だからこそ気付けるかなって気もしますね。
先生に対する「この人ちょっとすごいじゃん」て思わせるチャンスにもなるとは思う。
それは結構先生側にとっては大変な状況だと思うけども。
今まで学校的なルールだけを根拠にして、上下関係が生まれるような仕組みを作ってきていたわけですけど。
オンラインでの単純な手続きミスとかで、失敗の姿を見せざるを得ないというところもあるし、悪い言い方をすると化けの皮が剥がれてしまう教員も、もしかしたらいるかもしれない。
でもそれはもうしょうがないという。
教員としては、コミュニケーション自体とか関係性自体の話で問われてる、と思いましたね。
ただ、先生だったりメンターと呼ばれるような存在は、その時に慌てるとか、ミスするのを見せちゃダメだっていうのじゃなくて。
「ミスをしてもこの人はすぐ立ち上がって次を探し始めたぞ」とか、化けの皮が剥がれた後をドーンと見せられれば、この人は信頼できるってことに繋がると思う。
こんな機会はあまりない!今だからこそ考えるべきこと
一人でいることの価値とか、学校に行くことの意味を考える機会はなかなかないよ。
そういうことを考えることにこの1ヶ月を使うように言っているんですね。
少なくとも僕が学生のときにはそんな時間はなかったから。
今だからこそ、今の環境の意味を考えることが大切です。
その視点をどう子供たちに与えるかっていうのがすごく大事。
今学校がないことによって、みんなに考える機会に充てているっていったのはまさにそれだと思うんだけど。
そもそも皆が当たり前に通っていた学校、授業とは なんなのかってことを、生徒が考える機会としてのオンライン化への道っていうのは、僕はすごく有意義なことだと思う。
子どもは強い。こんな環境を楽しもう
子どもって、僕ら心配してしまうけど、いってもとても強いです。
そして、子どもを強くするのってやっぱり笑顔だと思うんですよね。
なのでこの状況をなるべく楽しんで元気でいれば、3ヶ月6ヶ月遅れても大丈夫だと思います。
むしろチャンスだと思って遊べればいいかなと。
僕の場合、基礎学力とかじゃなくて、ものを考えるとか、こう言った状況でどうしたら楽しくなるのかということに頭を使った結果、なんとかなった。
「授業に遅れちゃう」とか「教科書についていけない」とか、結構大したことない可能性はあって、むしろこういった非常事態の時に子どもがぐんぐん伸びる可能性がある。
そのぐんぐん伸びていく子どもを、もっと伸ばしてあげるようにサポートするっていう見方で、先生だったり保護者だったりが 子どもと関わってあげられたらいいんじゃないかって思いますね。
【オンライン教育の今後を考える】まとめ
一時間半以上に渡って、オンライン教育の今後について熱く語り合いました。
オンライン教育は、リアルで顔を合わせる集団生活スタイルから、人と接近することが敵わない今だからこそ 急速に発展を遂げているシステムです。
従来のものから新たになにかを取り入れていく際には、様々な問題点が発生しますが、オンライン教育は、オンタイムで問題を修正しながら対処していくことができることが大きな強みだと思います。
オンライン教育だからこそできること、また逆に危険性や気をつけなければならない点を、今のうちに模索・解決しながら、新しいオンライン教育の在り方を考えていくべきだと感じました。
アルスクールでは、小学2年生~小学6年生向けにオンラインプログラミングレッスンを行っています。
シューティングゲーム作成・イラスト紹介ページ作成・光るペット作りなどを通して、オンラインでも楽しく学べるレッスンを行っています。
また、一人ひとりのペースにあわせて、好きなモノを作れるように講師が適切にナビゲートしています。
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