文部科学省では、次の学習指導要領に向けて、「情報教育」のあり方を見直す議論が進んでいます。
小学校では総合的な学習の時間に「情報の領域(仮称)」を加え、中学校では「情報・技術科(仮称)」をつくる、という内容です。
このニュースを見て、
「また新しい科目が増えるの?」
「子どもの負担が重くならない?」
と感じる保護者の方もいるかもしれません。
この記事では、今わかっていることと、中学生の子を持つ家庭に関わるポイントを、できるだけわかりやすく整理しながら、
これから子どもたちが、情報やAIとどう付き合っていくべきなのかを考えていきます。
Contents
「情報・技術科」とは?中学校に新しい教科をつくる案
文部科学省の資料では、情報を扱う力を、小学校・中学校・高校でつながるように育てていく方向が示されています。
まず、小学校では、総合的な学習の時間の中に「情報の領域(仮称)」を加える案が検討されています。
独立した新教科ではなく、これまでの探究学習に、情報を集める、比べる、伝えるといった学びをよりはっきり位置づけるイメージです。
そして中学校では、「情報・技術科(仮称)」という新しい教科をつくる案が出ています。
そして高校の「情報科」へと、学びをつなげていく構想です。
正式な教科名や授業時間、いつから始まるかは、これから決まります。
ただ、情報活用の力を育てることを、学校教育の中心的なテーマにしていく方向であることは明確です。
参照:文部科学省「情報の領域(仮称)、情報・技術科(仮称)、情報科の体系整理(続き)」
これまでの「技術」の授業はどうなるの?
中学校の「情報・技術科」と聞くと、「これまでの技術の授業がなくなって、パソコンやAIの勉強ばかりになるのかな」と思うかもしれません。
ですが、そうではありません。
資料では、「情報技術」と「情報を基盤とした生産技術」の二つを柱に分ける方向性が示されています。
たとえば、材料を加工してものをつくること、生物を育てること、電気やエネルギーを扱うこと、といったこれまでの学習は残ります。
そのうえで、情報やデータ、AIも使いながら、よりよいものや仕組みを考える学びへと広げていくイメージです。
つまり、情報だけを学ぶ教科ではなく、ものづくりと情報を結び付けて、身近な困りごとを解決する力を育てる教科になっていきそうです。
授業時間が増えて、子どもの負担が重くなる?
保護者として気になるのは、やはり子どもの負担ではないでしょうか。
今回の議論では、年間の標準総授業時数は、現在より増やさない方針が前提として示されています。
新しい領域や教科に必要な時間を、全体の授業時間を増やさずにどう確保するかは、これから教育課程全体を見ながら検討されます。
なので、「授業がただ増える」というより、これまで各教科で扱われてきた情報活用のあり方を整理し、子どもが身に付きやすい形に見直そうとしている、と捉えるとわかりやすいかもしれません。
なぜ今、AIについて学ぶの?
AIは、もう特別な道具ではありません。
検索、動画、SNS、学習アプリ、仕事のツールなど、気づかないうちに私たちの生活の中に入っています。
だからこそ学校でも、「AIを使えるようにする」だけではなく、AIが出した答えをどう受け止めるかを学ぶ必要が出てきています。
資料には、小学生の学びの例として、生成AIに同じ質問を少し違う言い方で投げかけ、答えを比べる活動が示されています。
また、SNSや検索で、自分の好みに近い情報ばかりが表示される「フィルターバブル」や、似た意見ばかりが広がる「エコーチェンバー」について学ぶ例もあります。
大切なのは、AIの答えをすぐに信じることではありません。
「この答えは本当かな」
「質問の仕方を変えたら、どう変わるかな」
「ほかの情報も見てみよう」
そんなふうに、情報を一度立ち止まって考える力が、これからますます大切になりそうです。
中学校では、どんなことを学ぶ?
中学校の「情報・技術科」では、知識を覚えるだけではなく、実際に考え、つくり、振り返る学びが想定されています。
たとえば資料には、AIを補助的に使いながら、身の回りの困りごとを解決するアプリや、IoTを使った仕組みを考える学習例があります。
つくったものについても、「ちゃんと動くか」だけでは終わりません。
使いやすいか、誰かを困らせないか、生活や社会にどんな影響があるかまで考え、よりよくしていくことが大切にされています。
中学校で「情報・技術科」が新しい教科として実施されることになれば、ほかの教科と同じように、学んだ内容は評価の対象になります。
けれども、求められるのはAIの専門用語をたくさん知っていることではありません。
情報を使って考え、自分なりに確かめ、よりよい答えを探そうとする姿勢が、これまで以上に大切になっていくでしょう。
家庭でできることは、「教える」より「一緒に確かめる」こと
家庭で、AIやプログラミングを教えられなくても大丈夫です。
むしろ役に立つのは、親自身がAIや検索を使うときに、答えをそのまま信じずに考え直す様子を見せることです。
たとえば、献立や旅行の予定をAIに相談したとき、
「これ、うちの予算だと難しいかも」
「この時期は混みそうだから、ほかの情報も見てみよう」
と声に出してみる。
それだけでも、AIは便利な道具だけれど、いつも正しいとは限らないことが自然に伝わります。
子どもがAIの答えを見せてくれたときも、親が正解かどうかを判定する必要はありません。
「どこで確かめられそう?」
「別の聞き方をしたら、答えは変わるかな?」
そんな会話をするだけで十分です。
中学生の子を持つ家庭が、いま知っておきたいこと
これからの情報教育では、AIを早く使いこなせることだけが大切になるわけではありません。
むしろ大切なのは、AIやネットの情報を受け取ったときに、少し立ち止まれることです。
比べる。確かめる。考え直す。
その経験は、特別な勉強をしなくても、日々の会話の中で少しずつ増やしていけます。
学校で情報やAIについて学ぶ時間がより充実していくからこそ、家庭では「答えを急がず、一緒に考える時間」を大切にしてみてはいかがでしょうか。
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