AI教育

子どもがAIで作ったゲームは公開して大丈夫?「AIと著作権」について考える

生成AIを使えば、絵や文章、音楽、アプリまで、さまざまな作品づくりを手伝ってもらえます。

ゲームづくりも同じで、企画からキャラクターの台詞、背景の画像、プログラムのエラー解決まで、幅広い工程でAIが力になってくれます。

しかし、AIで作品が作れても、それをそのまま公開してよいとは限りません。

この記事では、任天堂の生成AIに関する発言を正確に整理しながら、子どもがAIでゲームを作るときに大切にしたい著作権について考えます。

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任天堂は「AIと著作権」について何を語った?

任天堂は、2026年6月26日に開いた第86期定時株主総会で、生成AIと知的財産権に関する質問を受けました。

この質問は、各国でAIに関する法整備が進む中で出されたものです。権利者の許諾なく学習された生成AIの利用や、生成AIによる知的財産権侵害のリスクを任天堂がどう考え、どう対応するのか、という内容でした。

古川俊太郎社長は、各国でAI法規制の整備が進んでいることを認識しており、法令を守りながら任天堂の知的財産を適切に保護していくと回答しました。

そのうえで、ゲーム業界では以前から敵キャラクターの動きなどにAIに近い技術が使われてきたと説明します。つまり、ゲーム開発とAIには、もともと近い部分があったというわけです。

昨今の生成AIについては、よりクリエイティブなことが可能になる一方で、知的財産権などの面で課題があるとの認識を示しました。

参照:任天堂「第86期 定時株主総会 質疑応答(要旨)」

AIで子どもの「ゲームづくり」はどう変わった?

生成AIの登場で、子どもがゲームを作り始めるハードルは下がりました。

キャラクターの台詞の候補を出してもらう、背景の画像を作る、プログラムのエラーを一緒に確認するといった作業を、AIに頼めるようになったからです。

ただし、AIが返してくれるのは、あくまで「候補」です。どの案を使うか、どこを直すか、最終的に何を作りたいかは、自分で決めなければなりません。

作品づくりを「アイデアを考える」「AIとつくる」「権利を確かめる」「自分で決める」という4つの流れに分けてみると、AIが担えるのは主に「AIとつくる」の部分だけだとわかります。

残りの3つは、本人にしかできません。

だからこそ、AIが出してきた案をそのまま採用して完成させてしまうと、本来いちばん面白いはずの「自分で選び、直し、決める」部分を手つかずのまま終えてしまいます。

それは、AIを使ううえでもったいない進め方です。

AIでつくった作品を公開する前に「著作権」の確認を

AIの案を採用するかどうかを自分で決めるとき、まず確かめたいのが、著作権の問題です。

AIで作ったキャラクターがどこかで見た作品に似ていたり、生成した音楽が既存の曲に近かったり、ゲームの設定が好きな作品とほぼ同じになっていたりすることがあるからです。

こうした場合は、そのまま公開する前に、いったん立ち止まりたいところです。

生成AIと著作権の関係については、文化庁が「AIと著作権に関する考え方について」という文書を公表しています。

あわせて、立場ごとに気をつけたい点をまとめた「チェックリスト&ガイダンス」も公開されています。

たとえば一般の利用者向けには、「作ったものを公開する前に、既存の作品と似ていないか確かめる」「利用するAIサービスの利用規約を確認しておく」「どんな指示(プロンプト)で作ったかを残しておく」といった項目が挙げられています。

子どもの作品づくりでも、そのまま参考になる内容です。

子どもが作品を公開したいときは、まず既存の作品とよく似ていないかを見直し、次に、使ったAIサービスの利用規約を確認しましょう。

判断に迷うときは、公開する前に保護者や先生、必要に応じて詳しい人へ相談しましょう。

参照:文化庁「AIと著作権について」

AIを使っても子どもの個性を作品に出る?

権利の確認と並んで、任天堂の回答にはもう一つ大切な視点があります。

独自性、つまり「その作品ならではの面白さ」についてです。

任天堂の知的財産は、キャラクター単体で生まれたわけではありません。

同社が独自に作り上げた遊びと一緒に育ってきたものであり、今後も独自の遊びを作り続けることで強みを保つとしています。

これは、子どものゲーム制作にもつながる考え方ではないでしょうか。

自分ならではの遊びが作品の強みになるという点は、AIを使う場面でも変わりません。

AIは短い時間でたくさんの案を出せますが、その中からどれを選ぶかは、作る本人にしか決められないからです。

たとえば、ジャンプの動きを少し遅くしてみる。
勝ったときの演出より、失敗したときの面白い音づくりにこだわってみる。
敵を倒すのではなく、話しかけると道が開くルールにする。

こうした、その子ならではのこだわりは、本人が遊び、考え、何度も直す中で形になっていくものです。

アルスクールの教室でも、画面の色に時間をかける子、キャラクターの動きを何度も調整する子、友だちの感想を聞いてルールを作り直す子がいます。

それでいいのです。

早く完成させることよりも、何を考え、どこで迷い、どう試したかにこそ、その子らしさが表れるからです。

大切なのは、AIを使えること自体を目的にするのではなく、自分が作りたいもののためにAIを使うこと。

この考え方は、プログラマーにならなくても、どんな仕事でも役に立ちます。

AIやプログラミングを道具として使いこなし、自分でアプリやシステムを作って、目の前の課題を解決できる人になってほしいと思います。

そのための第一歩が、AIの案を自分で選び直し、作品として仕上げていく経験です。

AIを使う子どもたちへ。家庭でできる3つの声かけ

今回の任天堂の発表で大切なことは、ただAIと著作権に関する具体的なルールを知ることではなく、AIで何かをつくったら、まず自分自身の頭で、振り返って考えることです。

そしてその力を育むきっかけは、家庭での声かけからつくれます。

お子さんがAIを使って何かを作っていたら、まずは作品を見せてもらってください。完成度を評価する前に、「AIに何を頼んだの?」と聞いてみましょう。

次に「自分で変えたところは?」と聞くと、子どもが選び、試した過程が見えてきます。公開したいと言われたら、「似ている作品がないか確かめた?」と一緒に立ち止まりましょう。

この3つは、正解を教えるための質問ではありません。子どもが自分の制作を振り返り、AIに任せた部分と自分で決めた部分を言葉にするための問いです。

AIで作れるものが増えるほど、自分で決める場面も増えていきます。お子さんの作品に、どんなこだわりが残っているか、ぜひ一緒に見てみてください。

アルスクールでは、小中学生がAIと対話しながら、ゲームやアプリづくりに挑戦します。

本当に身につけたいのは、ただAIに答えを出してもらう力ではなく、自分のアイデアをAIと一緒に形にしていく力。

学年に合わせて、無料体験を随時開催中です。ぜひ一度、教室の様子をのぞいてみてください。

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