教育

子どもが輝く学び、探究学習とは?

これからの社会に向けて、子どもたちは、どういう教育が必要でしょうか?

簡単にいえば、知識重視の教育ではなく、教育も変わる必要があると言われてます。

 

そんな中、探究学習が注目されてきています。

みなさん、探究学習という言葉を聞いたことあるでしょうか?

探求学習は、最近注目されている主体性や協働性、知的好奇心などの非認知能力を伸ばすのにとても良い学習法です。

 

そこで、まずは、探求学習とはどういうものかどういう力が身につくのかについて説明します。

そして、プログラミング教室【アルスクール】で、実際行っている探求学習についても紹介します。

 

探究学習での子どもたち|積極的に参加して学ぶ

僕の長男は探究学習が特徴の小学校(*)に通っています。
(*) 文科省の定める小学校ではなくフリースクールですが実質的には小学校です。

ただ、はじめは探究学習について深く考えたことはありませんでした。

小学生がバイタリティに溢れてる。

先生が一人ひとりの個を尊重。

答えのないテーマでレッスンをしたり、算数や国語でもただ答え合わせをするのではなく、みんな積極的に参加して一人ずつの考えを話し合う。

そういうところに魅力を感じました。

子どもの表情と、場の雰囲気。

これほど教育の質を表しているものはないと思います。

ただ楽しいだけではなく、学びに真剣になる

甘やかしても、ゲームばかりしてても、無理やり勉強させても、いい表情にならないです。

 

アルスクールに取り組むにあたり、その秘密に迫ろうと、探究学習について学びはじめました。

 

探究学習とは?

探求学習 (8)

では、探究学習とは何なのか?

超ざっくりいうと「講義型でない学びの総称」でしょうか?雑すぎて探究業界の方々に怒られそう。
※講義型とは、先生が1人、前に立って、黒板などを使い講義し、生徒はそれを聞いてノートを取るような学びの呼称とします。

実は、探究学習を実践している人や団体によって、【探究学習】の意味・定義が違うように思います。

そこで、次に探求学習の種類について紹介します。

 

探究学習にもいろんな種類がある!?

探究学習を実践されている方々のお話を伺ったり、情報を集めると、教育方針にも様々なものがあります。

いくつかのパターンを上げてみます。

 

興味開発型

子どもが興味を持てるトピックを見つけたり、興味を引き出すような工夫をして、子どもの学びたい意欲を引き出す学び。

子どもが興味を持ってどんどん学びに集中していくだけでなく、好きなものを発見すること自体を目的とする場合もある。

 

概念獲得型

学習テーマについて、知っていることや疑問点などを出発点に、学びたい気持ちを引き出しながら、主に実体験を通じ、子ども自らが発見したり考え方を習得する学び。

単なる知識習得でなく、より普遍的で様々なことに応用される概念の獲得を目指す。
(「概念の獲得」がピンと来ない方は、とりあえず「深い理解」と読み替えてください。)

 

調べ学習型

学習テーマについて、情報を収集して調査し、調査結果を整理・分析。

それをまとめてプレゼンテーションなどで発表するようなフローの学び。

 

どう違うの?

上の2つ、興味開発型と概念獲得型は結果として似ていると思います。

興味開発は、興味を持ったことを主体的に深く学ぶことで、その領域を通じて深い理解にたどり着く

概念獲得は、好奇心を刺激し主体的に学ぶ必要があるので、興味を引き出される。

つまり、どちらも、似たような学びになるのではないでしょうか。

もちろん差異はありますが、普通の授業と比較すれば誤差の範囲でしょう。

 

一方で、調べ学習型は少し違います。

これはレッスンのやり方、進め方の方針なので、子どもが興味がなくても主体的でなくても、なんとなく教師の思うままに進められる

もちろん、調べ学習中で、子どもの興味を引き出し主体的に学ぶことはできますが、そうでなくてもできてしまう。

僕の中ではこれは探究学習としては違和感があります。

 

ちなみに、僕のイメージとして、教育について研究したり科学的にアプローチされている方々は概念獲得型、学習塾などで子どもが詰め込みで苦しんでいる様子を見てそんなんじゃだめだと問題意識から始めてる方々が興味開発型に多いように思います。

 

 

文科省でも探求学習を重視|小学校学習指導要領が改定

探求学習 (3)

文部科学省の小学校学習指導要領でも、総合学習の時間において、探求学習がさらに重視されるよう改定されました

探究的な学習を実現するため,「①課題の設定→②情報の収集→③整理・分析→④まとめ・表現」の探究のプロセスを明示し,学習活動を発展的に繰り返していくことを重視してきた。

 総合的な学習の時間においては,探究的な学習の過程を一層重視し,各教
科等で育成する資質・能力を相互に関連付け,実社会・実生活において活用
できるものとするとともに,各教科等を越えた学習の基盤となる資質・能力
を育成する。

参照:文部科学省_小学校学習指導要領

 

また、2020年度から必修化されるプログラミングも、探求的な学習になるように示されています。

プログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付ける学習活動を行う
場合には,探究的な学習の過程に適切に位置付くようにすることを示した。

参照:文部科学省_小学校学習指導要領

ただ、学校の探求学習の場合は、前の章の「調べ学習型」になっていて、子どもの興味がそこまで重視されていない場合もあります。

 

それに対して、探求型キッズプログラミング教室アルスクールは、子どもの興味や主体性を大切にしています。

次の章では、アルスクールの探求学習について紹介します。

 

アルスクールの探究学習

探求学習 (2)

アルスクールでは探究学習とは下記とします。

子どもの興味を引き出し、体験・作業を通じて一人ひとりが「あ、そうか!」と発見して、「もっとやりたい!」と次の学びにつなげながら、本質的な理解(概念)を獲得する学びのこと

探求型アルスクールの4つのポイント

子どもの学習意欲

子どもの学びたい気持ちを引き出したり、その子本来の個性・好きなことを観察し、子どもが高い学習意欲を持って自ら積極的に学びに参加し、主体的になるようにします。

 

実体験を通じた発見

知識をただ聞くのではなく、いろいろやってみて1人1人試行錯誤して、「あ、わかった!」「こんなやり方みつけた!」と、子ども自らが発見することで、単なる暗記ではない深い理解を得ます。

 

継続・発展・拡散

学ぶことによって「もっとやりたい!」「こういうのに使ってみたい!」「こうやったらどうなるかな?」などさらなる好奇心と学習意欲を呼び起こし、次の学びに繋げます。

 

本質の理解(概念の獲得)

ただ体験したことの知識を得るだけではなく、その本質を理解し、普遍的な考え方につなげることで、他の問題解決にも応用可能な概念を獲得します。

 

(具体例) レゴがまっすぐ進まない!直そう!

本質的な理解、概念獲得について、実例を書きます。

レゴをiPadのプログラミングで動かそうとしたら、まっすぐ進むはずなのに曲がってしまう。タイヤが1つしっかりハマっていなかったのが原因でした。

子どもたちは、「合ってるはずなのに曲がっちゃう」と言ってきます。そこで、原因究明を子どもと一緒に下記のようにやりました。

  1. 何で曲がるんだろう?→レゴを持ち上げたり色んな方向から見たり、全体を観察。「タイヤの動きが右と左で違う!」と発見
  2. シンプルなプログラミングでまっすぐ進むかチェック→あれ?進まない?プログラミングは悪くない?
  3. レゴでどこか思っていたのと違う動きをしている?→左のタイヤが全然動いてない。
  4. 左と右のタイヤを観察してみよう→あ、左のタイヤのパーツが外れてる。
  5. 左が外れているのを直したら超シンプルなプログラミングで動く?→動いた!
  6. 元のプログラミングで動くかな?→動いた!

無事、原因を究明できました。

ここで大切なのは、原因は何なのか、どういう手順で調べれば分かるのか、子どもが中心となって、教えてもらうのではなく自ら発見し体感することです。

大人は見れば多分すぐ原因がわかりますが、それを教えるのではありません。

 

この例では「レゴが動かない場合はタイヤが外れている可能性がある」という原因を知り、知識を得るのですが、そこがゴールではありません。

「複雑な問題でも、細かく分割して1つずつチェックしていけば原因究明できる」、という本質(概念)を掴んでほしいのです。

次に違う原因でうまく動かなくなったときに、問題解決に応用できる力。それが本質的な力であり概念です。

※探究学習(や国際バカロレア)では「概念(Concept)の獲得」という言葉が出てきます。さらにConceptの上位にGeneralisation(普遍化・一般化)があります。特定の事象を通じて、その知識にとどまらず、概念を獲得し普遍的な力を身に付け、様々な問題に応用できる力を身につけます。
ただ、「概念の獲得」ってピンとこないかなと感じています。意味合いは少し違うかも知れませんが「本質の理解」という言葉で分かりやすくした方がいいかなと僕は考えています。

 

探求学習と一般的な学びとの比較

一般的な学びとの比較表を作ってみました。

子どもたちは、探求学習の中で、興味を持って主体的に学び、自分のペースでアイデアを試し、本質的な概念を獲得していくのです。

 

探究学習で得られる力

探求学習 (1)

今までは探究学習の方法や説明を行ってきましたが、探究学習で得られるものとはなんでしょうか?

認知スキル

  • 知識

知識は講義型の方がいいのでは?と思われるかも知れませんが、実体験を通じ得た知識は強いです。

実際に、講義で覚えたものはテストが終わればすぐに忘れてしまい定着率が極めて悪いという研究結果も出ています。

 

  • 思考力

自ら考えて思考して学ぶ方が伸びますよね

思考力は答え合わせで身につくのではなく、思考しているときに伸びるのですから。

 

  • 計算力・漢字の書き取りなど

やはり一人ひとり、学習量が必要なので、探究学習だけで不十分になりそうです。

また、幅広くいろいろな知識をつける(特に興味のない領域まで知る)のも難しいかも知れません。

 

非認知スキル

  • 主体性協働性知的好奇心

講義を聞くよりも、どう考えても探究学習の方が伸びるでしょう

 

  • 自己肯定感・やり抜く力

これは一般的な授業でも、勉強がすごく得意な子は充分に身につくと思います。

一方で、テストでバツをつけられ他の子と比較される中で、お子さんによっては苦手意識を持ち自己肯定感が低くなるかも知れません。

一方で探究学習では、子どもが主体的に学ぶ中で、一人ひとりが何かを発見したり、理解していきます。

そういうとき、達成した喜びで、いい笑顔をするんですよね。

そういう1つずつの積み重ねが、自己肯定感ややり抜く力を伸ばすと考えています。

 

探究学習とプログラミング教育

探求学習 (2)

さて、アルスクールはプログラミング教室です。

プログラミング教育は探究学習と相性がいいです

創作活動という実体験。間違えてもすぐにやり直せるデジタルデバイス。

子どもが大好きで学びたくなるコンピュータを使った学び。

親和性が高くないわけがありません。

 

もちろん、プログラミング教育でも、短期的なスキル習得を目標に、ドリル式にやっているところなどは相性は悪いでしょう。

でも本質的には相性がいいんです。

 

新しい学びの領域であるプログラミング教育。

そのデファクトスタンダードを探究学習にして、そこをきっかけに探究学習の良さを知ってもらい、より広範に探究学習が導入されるといいなぁ、とアルスクールでは思っています。

道のりは長いですが、応援してください!

 

探究学習と受験・学力

探求学習 (6)

探究学習というと受験・学力のアンチテーゼみたいなイメージがあります。

オルタナティブ(代替)教育っていわれたり。全然、代替ではないのですが。

僕は、探究学習と受験・学力は決して相性が悪いものではないと考えています。

むしろ受験対策や学力にも結びつくと信じています。

 

東大にたくさん合格する伝統校、ありますよね。

灘、開成、麻布、武蔵、筑駒などなど。僕は武蔵出身です。

同期の4割くらい、東大でした。

こういう学校の学びは受験勉強まっしぐらでしょうか?

実は全然違います

 

灘だと「銀の匙」の授業が本になっていますが、武蔵の学習もまさに探究学習

例えば古文で、文法をやった記憶がほぼありません。

昔の字体(お蕎麦屋さんの看板みたいな字)で舌切雀を読みました。

当時の価値観を掴むにはまず文字からだ!って言ってた気がします。

こんな授業ばかりです。でもちゃんと進学実績を残します。(最近、低迷しているらしいですが)

それは、探究学習が学びの基礎体力(学ぶための基礎的な素養)を伸ばす学びだからです。

 

受験で点数を取るためのテクニックは、受験したい人が後から覚えればいい。

そのときにぐんと伸びる力をつけているのです。

というか、武蔵(やおそらく他の高校)は、そもそも受験で点数を取ることを教育の目的にしていません。

 

また、ご存知の方もいるかも知れませんが、2024年までに大学入試が変わります。

今までの知識・技能中心から、主体性・多様性・協働性などを問うようになります。

文部科学省は学びの3要素を下記のように定義しています。

学びの3要素

  1. 知識・技能の確実な習得
  2. (①を基にした)思考力・判断力・表現力
  3. 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度

探究学習は、この②と③が得意。つまり、受験自体が、探究学習に寄ってくるのです。

さて、この3要素が、どことはいいませんが、学習塾だとこういうピラミッドで表現されます。

知識・技能がまずベースで必要だよといわんばかりの図

文科省のページもいろいろ調べましたが、このようなピラミッドで表しているのは僕は発見できませんでした。

「知識・技能重視をやめバランスを取ります」という方針なのに、どれだけ知識・技能を重要視したいのでしょうか。

このピラミッドは間違えています。この3要素は上下関係じゃないです。

これが正解。

例えば知識・技能がなければ主体性が伸びないなんてありえません

それぞれ重なり合いますが、別のスキルです。ピラミッドではないです。

まず知識から身に付けよう!なんてナンセンス。

むしろ、敢えていえば、思考力や主体性を身に付けてから知識や技能を身に付けたほうが、知識の習得は効率いいのではないでしょうか

 

探求学習まとめ

「探究学習とは」からはじまり、探究学習とプログラミング教育、探究学習と受験・学力について僕の考えを述べてきました。

少しは探究学習のイメージが湧いたでしょうか?

探究学習って、「こういうレッスン形式をすればいい」というフォーマットの話ではないと思うのです。

マインドというか、価値観に近いもの。

 

だから、別に授業じゃなくても、日々の遊びや生活でも探究はできます。

料理をしていたり、道を歩いているときにふと気になることがあって、脇道に逸れてそれを楽しむような。

 

僕らは子どもたちにどうなってほしいのでしょう。

日常の中にある、ふとした疑問を楽しみ、わくわくして日々を過ごすような子どもか、それはテストの点に繋がらないから意味がないと、ただ点数のための効率を考えるような子どもか。

 

正直に言えば、僕自身も探究学習を本当に理解できているかというと自信がありません。

探究学習を実践されている方から見れば、もしかしたら反論の多い内容かも知れません。

でも、僕自身が探究学習を学ぶなかで、探究学習ってなんなの?というのがすごく分かりにくい。

ですので僕なりに整理しアウトプットしようとこの記事を書きました。

これは業界の人、教育者の人にも、なんとかしてほしいと感じています。

 

探究学習が子どものためになると思って実践されている方々なのですから、それがより多くの方、特に保護者の方々に分かりやすく伝わることは、とてもいいことなのではないでしょうか?

 

探究学習に興味を少しでも持たれた方、ぜひアルスクールの学びを体験しにきてください!

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むらっち
むらっち
村野智浩。探究型プログラミング教室アルスクール代表。探究学習などを学びながら、150名以上の子どもたちと学ぶ。チームラボでPM、スタートアップの技術顧問などを歴任のITスペシャリスト。東京大学工学部卒業。
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