近年、教育の現場にEdtech(エドテック)が登場しているのをご存知でしょうか?
Edtechとは、インターネットなどのテクノロジーを利用した新しい教育の枠組みのことです。
2022年4月現在、経済産業省のEdTech支援サイト「未来の教室」に登録されているサービスは126件にのぼっています。参照:未来の教室_経済産業省
そのラインナップは多岐にわたります。
- オンライン英会話・AI英会話・プログラミングのような新しい学習系サービス
- 中高生限定SNSのようなコミュニケーション系サービス
- プロジェクターなどの機材支援や部活動支援、など
今後のオンライン教育にも、EdTechはますます活用されていくことでしょう。
次の章からは、Edtechについて詳しく解説していきます。
Contents
Edtechとは?教育とテクノロジーの造語
EdTechとは、教育(Education)× テクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。
教育分野にイノベーションを起こすことを目的とした、ビジネスやサービスなどの総称です。
科学技術の進歩にともなってあらゆる分野でテクノロジーが活用されている中、教育分野の取り組みであるEdTechはいま大変注目を集めています。
eラーニングとエドテックの違い
教育分野におけるICTの先行事例として「eラーニング」が挙げられます。
eラーニングは特定の場所で講師が直接講義をする必要はなく、PCやタブレット端末等を利用してインターネットを介して学習する形態です。
時間や場所に制限されずに、学習環境を何度も作れることが特徴です。
試験や研修の会場へ足を運ぶ必要がなく、また従来のメディア(紙、スライド、テレビなど)で補えないタイプの教育を行うことも可能です。
eラーニングのもつ従来型“知識学習”の補助的な役割に加え、EdTechはグループ活動やコミュニケーションを含む“経験学習”の支援としての側面も付け加わっています。
Edtechのメリット
Edtechには、従来型の教育形態にはなかったたくさんのメリットがあります。
たとえば、次のようなものがあります。
- 遠隔で好きなときに授業を受けられる
- 双方向のやり取りが可能
- 個々人にカスタマイズした学習環境を提供できる
- カリキュラム策定に幅広い選択肢が生まれる
- 教室という限られた空間を超えて国内外にアクセス可能である
- 教師-学習者間または学習者同士の交流促進
- ICTのメリットを学びながら体感できる
- STEM教育と相性が良いこと
- 不登校等の校内問題の解消、効率化や低コスト化
すでにEdtechが導入されている海外の国々では、生徒同士の議論が活発になるなど様々な効果が表れています。
Edtechのデメリット
従来型教育に比べてメリットが多いEdtechですが、発展途上分野のためデメリットも存在します。
オンライン授業を例にとると、次のようなデメリットがあります。
- 視聴覚情報にかたよっているため、他の感覚機能を育めない
- リアルの人間関係を構築しづらい
- 集団行動の指導には不向きである
- PCやマイクなどハードウェアの環境格差、画面を長時間注視するため眼が疲れる
- 記憶能力をテストできない(カンニングを防止できない)
- ある程度のITリテラシーが前提になる
- 低年齢の学習者には保護者のサポートが必要
Edtechのメリットを最大限生かすためには、これらのデメリットを低減・解消することが大きな課題です。
EDTech市場規模の拡大
EDTech市場規模は拡大傾向にあると予想されています。
AWSジャパン社の調査によると、日本におけるEdTech市場規模は2023年には3,000億円を超えると予測されています。
また、世界のEdTech市場は、2021年から2025年の間に17.85%のCAGRで推移し、1,123億9,000万米ドルの成長が見込まれています。
EDTechの事例は?
経済産業省のEdTech支援サイト「未来の教室」の登録サービス導入事例は11例(2020年7月現在)に及びます。
内訳としては主要教科の学習支援、PC・タブレット端末を利用した授業支援、近年重要性が高いと指摘されるオンライン英会話やプログラミング学習など、注目度が高い分野が含まれています。
また、休校時に学校と保護者間の連絡に活用された通信支援もあります。
取り組みが進んでいる一方、逆に言えば、登録サービス全134例のうち導入事例はわずか10%以下に過ぎません。
導入地域も都市部に偏っていることから地域間格差も懸念され、EdTechが一層普及するためには成功事例を広め、認知度を高めていくことが必要です。
参考:未来の教室
EDTechに対する政治の動き
文部科学省は公表するSociety5.0において、EdTechを「教育におけるAI、ビッグデータ等の様々な新しいテクノロジーを活用したあらゆる取組み」と位置づけています。
また、経済産業省はEdTechを「教育格差の解消、グローバルで活躍できる人材育成、教育現場改善」の3点の問題解決に有効だと位置づけています。
支援サイトも立ち上げており、将来の経済活性化を見据え国が一丸となってEdTechに力を入れていることがうかがえます。
EDTechの今後はどうなっていくのでしょうか?
EdTechは近年教育分野で注目されている英語・プログラミング・STEM・オンラインとも相性がいいです。そのため、これらの取組みと相互的に発展する可能性があります。
また、AI、IoT、VRなど、さらなる発展が見込める最先端ICT技術と連携できる将来性も備えています。
こうした革新的な教育法であるEdTechの活用によって、学習者一人一人への教育の最適化・効率化が今後期待されます。
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