2020年度に、小学校で、プログラミング教育が必修化しました。
保護者の方々で気になっている方もいるのではないでしょうか?
まずは必修化について、小学校の学びがどう変わったか整理してみましょう。
プログラミング必修化の問題点やそれに勝る子どもたちへの大きなメリットについても詳しく紹介します。
Contents
プログラミング教育の必修化はいつから?何年生から?
2020年度から、小学校で、プログラミング教育が必修化しました。
何年生からプログラミング教育が始まるのでしょうか。
文部科学省の公式サイトにある【小学校プログラミング教育の手引き】には、文部科学省・総務省・経済産業省共同制作の、「未来の学びコンソーシアム」Webサイトがあります。
こちらは、プログラミング教育の具体的な実践事例の発信を主な目的としたサイトです。
たとえば、実施例は以下のようなものが載っています。
- 3年生:まちの魅力を発信しているタッチパネルの試作(総合学習)
- 4年生:まちの魅力を発信しているタッチパネルの試作(総合学習)
- 5年生:正多角形をプログラムを使って書こう(算数)
- 6年生:電気を効率よく使うにはどうしたらよいかを考えよう(理科)
3年生、4年生の実施例は1例しかなく、他はすべて5年生、6年生でした。
プログラミング教育必修化の概要と目的
プログラミングという授業ができるわけではない
プログラミングという新科目ができるわけではなく、算数や理科の授業の中でプログラミングを取り入れています。
通知表にも「プログラミング」という項目はできません。
例えば、角度の学習と組み合わせて、【プログラミングで正三角形や正方形を描いてみよう】など。
2020年度の教科書が発表されていて、プログラミングについても載っていますので一部をご紹介します。
参照:啓林館小学校理科 プログラミング シート&シール紹介動画
プログラミング教育の目的はプログラミング的思考
小学校でプログラミングを学ぶ目的は、プログラミングスキルの習得ではありません。
どういう手順でプログラミングをすれば問題が解けるか、その考え方(=プログラミング的思考)を身につけることです。
以下、文部科学省の資料より抜粋します。
資料1:プログラミング教育とは
プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない。
資料2:プログラミング思考とは
プログラミング思考とは、
自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力
では、プログラミングの必修化について、プログラミング教室【アルスクール】代表として、また、小学生の子をもつ親としての僕の意見を書いていきます。
プログラミング必修化が素晴らしい3つの理由
プログラミングの必修化については、賛否両論ありました。
教員が大変・教えられない・パソコンやネットワークの準備不足、などなど。
プログラミングを小学生で学ぶ必要があるのか?という意見も、特にエンジニアからはよく聞かれます。
でも、僕は、大賛成です。
ITエンジニアとしても保護者としても、教育者としても。
その理由を次の章から紹介していきます。
プログラミング教育に保護者が向き合うチャンス
プログラミングが小学校で必修化しようがしまいが、これからの社会は、生活も仕事も、テクノロジーと切り離せなくなります。
必修化により、多くの保護者の方がテクノロジーと教育について考えるようになりました。
今の子どもたちは、スマホやネットを小さいうちから使っていて、我々保護者世代とは生活環境も学習体験もまったく異なります。
AI時代によって必要とされるスキルも大きく変わっています。それは産業界も教育業界も痛感しています。
文部科学省によるプログラミング必修化だけでなく、実は経済産業省もプログラミングなどの教育改革を推進しています。
プログラミングは、ほとんどの保護者の方は経験がないでしょう。
プログラミングが必修化していなかったら、多くの人が考えるきっかけすらなかったかもしれない。
そういう意味で、プログラミングの必修化はとても社会的意義が大きいです。
プログラミングに興味をもつ子が増える
保護者と同様に、授業になかったら、子どもが「プログラミング」に触れるきっかけはほとんどないままだったでしょう。
少しでもやってみたら、パソコンやタブレットが大好きな子どもたちは、興味をもって、もっとやってみたいと思う子がたくさん出てくると思います。
プログラミングスキルの習得を論じる必要もなく、まず知り、やってみるきっかけがないと、何も始まらない。
義務教育に組み込まれるからこそ、多くの子どもたちの最初の1歩が踏み出されます。
今までの授業の形式に疑問を持てる
プログラミングは、普通の授業のように、先生が前に立って黒板使って、子どもたちがノートをとるようなレッスンにはなりません。
理科の実験や体育などのように、子どもが主体となって、体験する学びになります。
実は、2020年度の学習指導要領改訂で、プログラミング必修化と並んで大きな変化がありました。
それは「アクティブラーニング」の導入です。
文部科学省の資料では「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」という難しい表現になっていますが。
今までの授業のように、先生が生徒に知識を伝える、講義のような授業は極めて効率が悪い、というのが既に実証されています。
プログラミングは特に、子どもが興味をもって主体的に学ぶかどうかで、成長の速度が劇的に違います。
プログラミング学習を通じて、今までの知識偏重、暗記型の授業形態に一石を投じることになり、他教科の学び方も進化するのではと期待しています。
プログラミングの必修化|プラグラミングをどう学べばいいのか
では、どのようにプログラミングを学べばいいのか考えていきましょう。
小学校のプログラミングは意味ない?
小学校では、準備不足、学習時間不足など、十分なレッスンが受けられないが可能性も高いです。
参照:プログラミング教育、スタートに黄色信号 準備順調7県のみ_産経新聞ニュース2020/1/9
また、おそらく自由な創作活動でプログラミングを楽しむことはできなく、問題を解く(正解を探す)学習になると思います。
それでは、プログラミングの本質には触れられず、将来必要なスキルが身につくことも難しいです。
英語の授業を習っても、社会で使えないように。
つまり、興味を喚起する役割は大きいですが、それ以上の効果は限定的となるでしょう。
必修化と関係なく将来必要なスキルを学ぶ
プログラミング学習は、学校の授業にあろうがなかろうが、将来子どもが必要となる学習をするべきです。
学校の授業で子どもが興味を持ったら、それをチャンスと捉えて、より高いレベルにチャレンジしましょう。
頭がよくてもコンピュータに弱い人はたくさんいる
では、どうプログラミングを学び、何を目的にすればいいのか。
プログラミング教室などで、よく、論理的思考力を鍛えることを目的にしているところがありますが、実は違います。
世の中には、頭がいい、論理的思考力は高いのにコンピュータが苦手な人はたくさんいます。
大学教授、お医者さんなどが、みんなコンピュータに強いわけではないですよね。
論理的思考力とコンピュータの強さは別物です。
論理的思考力も大切ですが、それに加えて、コンピュータに強くなることが大切。
プログラミング教育の本来の目的はコンピュータに強くなることです。
コンピュータに強くなるために|小学生はセンスを磨こう
コンピュータに強いとは、コンピュータの特性(得手不得手)を理解し、どうやってコンピュータを使えば問題解決できるのか考えられる思考力を持つことです。
後述しますが、コンピュータ・サイエンスという学問分野に近い考え方です。
ただ、小学生のうちには、知識をつけるというよりは、その基礎的なセンスを磨くことが大切です。
テクノロジーに慣れ親しむ
パソコンを触り、使い、遊びまくると自然とセンスが身に付きます。
電子工作やパソコンを組み立てるのでもいいでしょう。
超一流のエンジニアは子供の時にコンピュータや機械で遊びまくっていた人が多いです。
コンピュータの動きを感覚的に掴む
コンピュータはどうやって動くのか、正確に理解できなくてもいいので、感覚を掴みましょう。
プログラミング学習はこれに役立ちます。
この感覚が成長すると、コンピュータでできること、難しいこと(コンピュータの得手不得手)がなんとなくイメージできるようになります。
実はこれが非常に大切な感性になります。
コンピュータの創作活動でワクワクする
コンピュータを使うと創作活動の幅が劇的に広がります。
その可能性にワクワクして創作するマインドを持ちましょう。
「あれ、これはできないんだ、じゃあこうしよう!」という体験がとても大切。
そして、学べば学ぶほど、やれること、表現できる範囲が広がることを実感することで、学びたい気持ちを育みましょう。
プログラミングをドリルのように学んでスキルを身に付けても、プログラミングの可能性、魅力に気づけません。
学ぶ面白さも感じられません。
実際にそういう体験談をよく聞きます。
それでは本末転倒です。
テクノロジーに敏感な時期を逃さない
お子さんによりますが、9歳前後で、大きな変化があります。
それは、ちょっとしたプログラミングが「それしかできないの?」という思いから、「自分でこんなことできた!」という喜びに変わるのです。
そのタイミングにプログラミングや電子工作で遊んでいると、急速にプログラミングスキルが成長しますし、テクノロジーへの理解・学ぶ意欲が爆発します。
小学生でプログラミングは早い?必修化の問題点とは
プログラミングスキルは小学生には早い
プログラミングは小学生でなく、もっと大きくなってからやればいい、という意見があります。
エンジニアやプログラミング経験のある方は特にそう思うようです。
実はある意味では僕も賛成です。
プログラミングは算数の要素が強い。
等号不等号、集合、座標、確率などなど。
算数を学んでからやったほうがいいものは多いです。
無理に早いうちからやると、むしろ知識が先行しすぎて成長を阻害する可能性もあります。
また難しく感じて嫌いになるケースもあります。
でも、それは、「プログラミングスキル」を身につけることを目標とした学びの場合です。
条件分岐や繰り返し、関数などのプログラミングのテクニックを覚えることを目標とした場合です。
コンピューター・サイエンスの考え方を育むべき
アルスクールでは、結果としてテクニックは、子どもの発育に応じて身につきますが、それ自体を目標化していません。
(とはいえ実は他のスクールよりできるようになっちゃうのですが)
プログラミング教育は本来、「プログラミングスキル」の習得ではなく、「コンピュータ・サイエンス」の基礎的な考え方を育むことを目的とするべきです。
その考え方を、海外では、Computational Thinking(コンピュテーショナルシンキング、計算論的思考)と呼びます。
プログラミング的思考(アルゴリズムと近しいもの)に加えて、パターン認識や抽象化などを含む概念です。
実は、海外の初等教育で「プログラミング」として進めている国はごく少数です。
プログラミングを学習する国も「コンピュータ・サイエンス」という科目の中の1単元として「プログラミング」を行う国が大半です。
日本はなぜ「プログラミング」あるいは「プログラミング的思考」に矮小化したのか、正直良くわかりません。
分かりやすさをとったようですが、有識者会議の議事録を見ても、当初は、コンピュテーショナルシンキングが取り上げられていました。
このときは、より広範なコンピュータ・サイエンスの議論があったのに、それがどこかで「プログラミング的思考」と一部だけにフォーカスされました。
プログラミングの単なるスキル習得ではなく、コンピュータ・サイエンスの基礎的な考え方を身につけることを目的とする学習は、小学生で早すぎることはありません。
プログラミング必修化まとめ
小学校でプログラミングが必修化することで、保護者も子どももプログラミングやテクノじーとどう向き合うべきか考える機会が増えました。
それだけで、プログラミング必修化は非常に大きな意味があります。
そして、そこをスタートとして将来必要な学びはなんなのか、ぜひ一歩進めて考えてみてください。
子どもが興味を持ったらチャンスです。
お子さんが、コンピュータに苦手意識を持たないように、むしろ得意になるように、ぜひ取り組んでください。
アルスクールは、学校のプログラミング教育に合わせた学びではなく、本質的に必要な学びを追求しています。
ご興味ありましたら、一度、遊びに来てください。
疑問点など、ぜひ聞いてください。お待ちしております。
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