プログラミングはゲームで学ぶと子供は伸びる
アルスクールという探究型キッズプログラミング教室を運営していますが、親御さんからこんな相談をよく頂きます。
家でゲーム(テレビゲームやスマホゲーム)ばかりなので、どうせならプログラミングを学んでほしい
これには理由があって、ご両親から見てゲームとプログラミングが画面に向かう様子が似ているからだと思います。
厳密にいえば、ゲームとプログラミングは別のものですが。子供がプログラミングを学ぶという点では実は密接に関係しています。
プログラミングをゲーム感覚で学ぶ
キッズプログラミングにおいて、ゲームで楽しみながら学ぶというのは非常に重要です。
子供にはそれぞれに合ったスタイルでの勉強の仕方がありますが、何より重要なのは楽しみながら行うことです。
その点で、ゲーム感覚で学びながら気が付くと熱中してプログラミングを好きになってたというのは理想的なのです。
では、通常のゲームをよくやる子は、プログラミング学習に向いているのか?その関係性はどうなのでしょうか。
ゲームをよくやる子はプログラミングに向いている
ゲーム好きな子にとって、プログラミング学習は大きなメリットがあります。でもそれは、「ゲームとプログラミングが似ている」からではありません。
むしろ逆で「プログラミング学習はゲームをたくさんやる子に不足しがちなスキルを補完できる」からです。
ゲームをよくやる子がプログラミングに向く強み
お子さんによって様々ではありますが、ゲームをよくやる子は、物事に対して、全体を俯瞰して考えるセンスが高いです。
視野が広く、全体のバランスに気を配ります。例えば掃除をみんなで分担するときなど、どうやったらみんながうまくいくか考えます。
物事を総合的に判断するスキルが伸びている、とも言えます。
ゲームをうまく進めるために色々考えて試行錯誤していることが、成長につながっているのではないでしょうか。
僕はゲームは適度であれば(またゲームの種類を選べば)成長を助ける面が大きいと考えています。何よりオモシロイです!
ゲームをやりすぎることの懸念
一方で、ゲームに割く時間が多いと、物事に対して効率を求めたり、意味の見出しにくいことをやりたがらない傾向が強くなるように思えます。
損得勘定に敏感とも言えます。
保護者の方から「要領はいいんだけど、、、」と、点々がついて相談を受けることも多いです。
これは先に書いたゲームをすることの強みの裏返しです。
効率を求める傾向が強くなると、実体験を伴った理解が不足し、1つずつ手順を積み上げて課題解決するアプローチが苦手にもなります。
「◯◯って聞いたけどホントかな?試してみたい!」
「これをいじくったらどうなるかな?壊して中を見てみたい!」
こういう思いよりも、「試すよりも大人に答えを聞いたほうが早い」という思いが強くなります。
実体験を伴わないとどうなるのでしょう。知識を誰かに聞いて覚えることはできても、子どものなかで「あ、そういうことか!」という本質的な理解が伴いません。また、勉強と実社会とのつながりも見えず興味・関心が高まりません。
知識が先行することについては下記記事をご参照ください。
また実社会とのつながりがみえないこと、興味・関心が低いことは、特に数学・算数で(ゲームに関係なく)日本の課題であり、それを助長しかねません。下図は「PISA2012年調査国際結果の要約」からの引用です。OECD平均よりも日本は数学に関する指標がかなり低いです。
ただ、誤解してほしくないのは、「ゲームがダメ」なのではなく、「ゲームをやりすぎることの懸念」です。先に書いたように、適度なゲームは、むしろ僕は、子どもの成長にメリットであると考えています。
ゲーム好きな子は創作力が伸びやすい
ではゲームが好きな子が深く取り組むことで得られる学習とはどんなものでしょうか。
それは、創作活動です。
創作は、1つずつ積み上げていかないと作れません。そして1つずつの積み上げが作品にそのまま影響します。
例えばプラモデルや編み物でもいいでしょう。絵を描いたり、マンガを書くのでもいい。
創作の過程で、1つずつの工程を積み重ねて作品を完成させるプロセスは、全体の効率を考えるのとまた異なった思考プロセスを実体験できます。
ゲームで養われた俯瞰する思考力と、創作で養われた積み重ね式の思考力が合わされば、とてもバランスがよい思考力になります。
ゲームとプログラミング学習との関係性
ではプログラミング学習をゲームで行う効果はどうでしょう。
プログラミングはPCに向かうのでゲームと似たイメージかも知れませんが、ゲームが「用意された世界で遊ぶ」のに対して、プログラミングは「作るための道具」です。使う脳みそが違います。
1つずつ機能(処理)を積み重ねて、作品を作ったり、課題解決します。まさに創作活動であり、ゲーム好きな子にオススメの、積み重ね式の思考力を身につけられます。
また、ゲーム好きな子は、だいたい、パソコンやタブレットをいじるのが好きです。仮に創作が苦手だったとしても、喜んでチャレンジすることが多いです。
プログラミングは、ゲーム好きな子にとって、創作活動のなかでも、とても適した教材です。
ゲームはプログラミングでできている?
なお、ゲームとプログラミングはどう関係するでしょうか。実際のゲーム開発から考えてみます。
ゲームを作るのにはプログラミングが必要です。でも、プログラミングができればゲームが作れるわけではありません。
おそらくゲーム開発のうち、プログラミング(システム開発)にかかる費用は大体40%程度です。想像より少ないでしょうか。
ゲームを作るには、企画をし、シナリオを考え、音楽を作り、そしてキャラクターなどをデザインすることが必要です。
プログラミングはこれらの要素を結びつけ、実際にゲーム機やスマホで動くようにするための手段です。映画で例えればカメラマンのようなものでしょうか。
多くのプロフェッショナルが力を合わせてゲームは作られるのです。
プログラミングに向いているゲームとは
余談ですが、プログラミング学習の観点から、ゲームの遊び方の良し悪しについて考えてみます。
アイテム課金(強くなるアイテムや通貨を都度購入するような課金)はオススメしません。少なくとも限度額を決めて守らせましょう。
学びの観点から見ると、ゲームで「できることが制限されている状態で創意工夫して進める」ことはすごく意味があります。コンピューターサイエンスの考え方ととても似ています。
でもアイテム課金はこの制限を弱くし、せっかくの創意工夫する場面をお金で解決してしまいます。
一方で、マインクラフトやマリオメーカーなどはプログラミングとすごく似ていて、もちろんプログラミング教育と相性はいいです。
でも別にそれに拘らずとも、ただ例えば格闘ゲームやマリオカートなどでも、キャラによって特性が異なり、それをどう上手く使えばいいか考えるのも、すごく意味があることだと思います。
結論:ゲーム感覚でプログラミングを学ぶと子供は伸びる
ゲーム好きな子は全体を俯瞰し総合的に判断する思考力が高い一方、あまりにゲームにハマるとよくない面もあります。
効率を求める思いが強くなり、実体験を伴った理解が不足し、1つずつ手順を積み上げて課題解決するアプローチが苦手にもなり兼ねません。
プログラミングを通じた創作活動は、それを補う学びが行えるので、ぜひプログラミング学習にチャレンジしてみてください。
子供に合うプログラミング教材や教室の選び方
プログラミング教室や学習教材もさまざまです。プログラミングスキル(条件分岐や繰り返しなど)を身につけることに重きを置いているものもあれば、創作活動としてどう使えばいいか考えるようなものもあります。
教材としては、創作するための道具としてプログラミングを扱う、スクラッチ(Scratch)やマイクロビット(micro:bit)がいいと思います。
特に、実際に通うプログラミング教室を選ぶのであれば、ぜひ(テクニックを覚える教室でなく)創作活動を通じて学ぶ教室にしてください。
テクニックも大切ですし、ゲーム好きな子は、ゲーム感覚でテクニックを学ぶのが好きかも知れません。でも、それでは今まで書いてきたようなスキルの補完はできない。
アルスクールでは創作活動のなかで子どもの成長を見守ります。ぜひともイベントなどに一度お越しください。
アルスクール